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消費税の基本的な計算の仕組み
まずは、消費税の納税義務の有無を判断します。 納税義務がある場合は課税売上に含まれる消費税から、様々な支出に含まれる消費税のうち、その課税売上に対応する部分を差し引いた残額を納付します。

■ 消費税の納税義務
個人事業者の納税義務の判断は、その年の前々年(「基準期間」と呼びます)の課税売上高が3,000万円以下※1(消費税を含まない金額)かどうかで判断します。 そのため事業を開始した年とその翌年は、消費税の納税義務はありません。 ただし、相続等により事業を承継した場合や、課税事業者を選択した場合はこの限りではありません。

 ※1 平成17年以降は1,000万円以下

■ 不動産経営における課税売上と非課税売上
消費税は国内で消費されるものやサービスに対し、広く薄く負担を求めるものなので、その性格上、課税の対象とすることになじまないものや政策的な配慮から消費税を課さないものは非課税とされています。
では不動産経営において課税売上、非課税売上にはどのようなものがあるのかご説明しましょう。

・課税売上 ・・・ 駐車場収入、貸店舗収入、貸事務所収入、貸倉庫収入、賄い付き下宿の家賃収入、貸別荘収入、貸看板等の広告収入など。
・非課税売上 ・・・ 住宅用家屋の家賃収入(礼金収入、更新料収入、共益費収入等も含む)、土地の貸付(駐車場を除く)、借地権底地の地代収入等。
  ※ 返還義務のある敷金、保証金、又は国等からの建設補助金は課税対象外となります。

■ 納税額の計算方法
消費税は課税売上に含まれる消費税から、仕入れや経費の支出に含まれる消費税を控除した残額が納税額となります。 つまり預かった消費税から支払った消費税を差し引いた残りが納税額というわけです。(この計算方法を原則課税といいます。)
又、課税売上に含まれる消費税に、その営む業種別に定められた割合をかけて控除すべき消費税を計算し、納税額を確定させる簡便な方法もあります。(この計算方法を簡易課税といいます)

納税額 = 課税売上に含まれる消費税− 経費等の支出に含まれる消費税

■ 「課税仕入れ等の税額」とは
課税売上に含まれる消費税から控除することができる、支出に含まれる消費税のことを「課税仕入れ等の税額」と呼びます。 ではこの課税仕入れ等の税額はどうやって計算するのでしょうか。

【原則課税による計算】
課税仕入れ等の税額は、その年に事業用に支出した金額に含まれる消費税の合計額です。 支出した金額には必要経費だけでなく資産の購入金額や資本的支出の金額も含みます。 これらの支出額に含まれる消費税の合計額が課税仕入れ等の税額ということです。 その際注意すべきことはその支出に消費税を含んでいない非課税の支出があることです。
 ・消費税を含んでいない非課税の支出
  損害保険料、租税公課、借入金の利息、給料、借地権の地代、土地の使用料など
  (減価償却費は必要経費になりますが支出ではないので消費税は含んでいません)

【課税売上割合の区分】
課税仕入れ等の税額の全額を課税売上に含まれる消費税の合計額から控除できるかどうかは下記の課税売上割合の区分に応じ異なります。
1. 課税売上割合が95%以上の場合
課税売上割合とは、その年の課税売上と非課税売上の合計額のうちに占める課税売上の割合のことです。この割合が95%以上であれば、課税仕入れ等の税額の全額が課税売上に含まれる消費税の合計額から控除できます。
2. 課税売上割合が95%未満の場合
課税売上割合が95%未満の場合は課税仕入れ等の税額は全額控除されません。この場合は次のいずれかの方法により計算します。

 ・個別対応方式
  課税仕入れ等の税額を「課税売上にのみ要するもの」「非課税売上にのみ要するもの」
  「課税売上と非課税売上に共通して要するもの」に区分します。
  このうち「課税売上にのみ要するもの」の全額と「共通して要するもの」に課税売上割合を乗じて
  計算した金額の合計額が課税仕入れ等の税額の合計額となります。
 ・一括比例配分方式
  課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算します。

【簡易課税による計算】
これはその年の基準期間における課税売上高が2億円以下※2の場合に適用できる計算方法です。 業種別に控除割合が定められていますので、課税売上に控除割合を乗じて計算します。 不動産貸付業の場合控除割合は50%です。例えばその年の課税売上が5,250万円(税込み)の場合は次のように計算します。
 ・簡易課税の場合の計算例
  課税売上高   5,250万円
  課税売上に含まれる消費税   5,250万円 × 5/105 = 250万円
  課税仕入れ等の税額   250万円 × 50% = 125万円
  納付する消費税額   250万円 − 125万円 = 125万円

この計算方法のメリットは課税仕入れ等の税額を課税売上から概算で計算しますので、計算が簡便なことです。ただし不動産貸付業の場合最も低い控除割合なので、この方法で計算した場合は原則課税で実額計算した場合よりも納税額が多くなることもあります。
又、簡易課税の適用を受けるには、受けようとする年の前年末までに税務署に届け出る必要があり、2年間継続して適用しなければ、原則課税に戻すことができません。

 ※2 平成17年以降は5,000万円以下

■ 消費税が還付される場合
原則課税により計算する場合、課税売上に含まれる消費税から、仕入れや経費の支出に含めて支払った消費税を差し引いて、引ききれなかった金額があるときは、その引ききれなかった金額が還付されます。
通常建物等の固定資産は支出金額が大きいため取得時に支払う消費税も多額です。 このため固定資産を購入した課税期間においては、引ききれなかった消費税が還付されることが多いのです。(ただし免税事業者は還付を受けるための申告書を提出する事ができませんので、還付を受けるためにあえて課税事業者を選択することができます)